股関節痛の原因とは?症状や改善方法も解説
立っていたり座っていたり、身体を動かしたりすると股関節が痛い……。
そうした悩みを持つ方々に、今回は「股関節痛」について解説したいと思います。
股関節痛の症状の種類や予防法などをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
股関節痛とは?
股関節は、骨盤と太ももの骨をつなぐ関節で、体の中でも体重を支える重要な役割を担っています。この股関節に何らかの異常が生じ、痛みが出ている状態を「股関節痛」と呼びます。
股関節痛は、立つ、歩く、階段の昇降など、日常生活における動作で痛みを感じることが多く、生活の質を著しく低下させてしまうこともあります。
股関節痛の症状は、痛みの程度や痛む場所、時間帯など、人によってさまざまです。また、股関節痛の原因は、加齢に伴う変形性股関節症、スポーツによるケガ、関節リウマチなど、多岐にわたります。
このことから、股関節痛を早期に改善し、日常生活に支障をきたさないようにするためには、自身の症状や原因を正しく理解することが重要です。
股関節痛の症状
股関節痛はさまざまな症状として現れます。痛みが発生するタイミングや痛みの種類、痛む場所についてまとめました。
(1)どんな時に痛みが出る?
股関節痛は以下のようなシーンで起こりやすいとされています。
動作・状況 | 説明 |
---|---|
歩行時 | 歩き始めや、長く歩いた時に痛みが強くなる傾向がある。 |
階段の昇り降り | 特に、股関節に体重がかかる昇り動作で痛みが強くなることがある。 |
立ち上がり | 椅子や床から立ち上がる際に、股関節に負担がかかり痛みを感じることがある。 |
長時間の座位 | デスクワークなど、長時間座っていることで股関節が硬くなり、立ち上がる際に痛みを感じることがある。 |
足を組む | 足を組むことで股関節に負担がかかり、痛みが悪化することがある。 |
運動時 | ランニングやジャンプなど、股関節に大きな負荷がかかる運動で痛みを感じることがある。 |
安静時や夜間 | 股関節の炎症や変形が進行している場合、安静時や夜間にも痛みを感じることがある。 |
これらの症状は、あくまでも一般的な例です。痛みの感じ方や出方は、人によって異なり、原因となる病気によっても大きく変わる可能性があります。
もしも、日常生活に支障をきたすほどの股関節痛がある場合は、自己判断せず、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
(2)痛みの種類
股関節の痛みには、その原因や症状によってさまざまな種類があります。
痛みの種類 | 特徴 |
---|---|
鋭い痛み | 急に股関節に強い力が加わった時や、特定の動きをした時に発生しやすい痛み。 |
鈍痛 | じわじわと持続する痛みで、安静にしていても感じる場合があります。股関節の炎症や、変形が進行している場合に多く見られる。 |
しびれるような痛み | 股関節周辺の神経が圧迫されることで生じる痛みです。太ももや足先まで、しびれが広がることがある。 |
引っ張られるような痛み | 股関節周辺の筋肉や腱が炎症を起こしたり、損傷したりすることで生じる痛みです。股関節を動かした時に、痛みが増すことがある。 |
(3)痛む場所
股関節痛と一言でまとめても、痛みの出る場所はさまざまです。
場所 | 特徴 |
---|---|
鼠径部 | 股関節痛で最も多いとされる痛みが出る場所。 股関節を深く曲げると痛みが出ることが多い。 |
臀部 | お尻から太ももの後ろ側にかけて痛みが出ることが多い。 立ち上がり時や歩き始めに痛みを感じやすい。 |
腰の外側 | 腰骨の外側あたりに痛みが出ることが多い。長時間歩いたり、立ちっぱなしでいると痛みが強くなることがある。 |
股関節痛の原因
股関節痛を引き起こす原因は、加齢に伴う変形や、生まれつきの骨の形状、生活習慣などが複雑に関係しています。ここでは、代表的な原因を6つ紹介します。
(1)変形性股関節症
股関節痛の原因として最も多いものが変形性股関節症です。
変形性股関節症とは、太ももの骨と骨盤をつなぐ股関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接こすれ合うことで痛みや炎症を引き起こす疾患です。
症状初期には、立ち上がり時や歩き始めに股関節に痛みを感じることがありますが、安静にすると治まることが多いです。進行すると、安静時や夜間にも痛みが続くようになり、歩行が困難になることもあります。
主な原因としては、先天的な股関節の形成異常や、加齢による軟骨の老化、肥満、股関節への負担が大きいスポーツなどが挙げられます。
(2)リウマチ性股関節症
リウマチ性股関節症とは、関節リウマチによって股関節に炎症が起こり、軟骨や骨が破壊されることで痛みが生じる病気です。関節リウマチは、免疫の異常によって自分の体の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
股関節は体重を支える重要な関節であるため、リウマチ性股関節症が進行すると歩行が困難になることもあります。リウマチ性股関節症では、股関節の軟骨や骨が破壊されていくため、以下のような症状が現れます。
(3)大腿骨頭壊死
大腿骨頭壊死とは、太ももの骨である大腿骨の先端部分の血液循環が悪くなり、骨組織が壊死してしまう病気です。進行すると、股関節に強い痛みが出て、歩行が困難になることもあります。
大腿骨頭壊死の原因は完全には解明されていませんが、ステロイドの使用や過度の飲酒、骨折などが挙げられています。
(4)股関節周囲の筋肉や腱の炎症
股関節の周りには、股関節を支えたり動かしたりする様々な筋肉や腱が数多く存在します。これらの筋肉や腱は、使いすぎたり、強い負荷がかかったりすることで炎症を起こすことがあります。これが、股関節痛の原因となることがあります。
(5)神経の圧迫
腰には足につながる神経が通っています。腰椎椎間板ヘルニアなどでこれらの神経が圧迫されると、股関節や足にしびれや痛みが現れることがあります。
(6)骨折
股関節の骨折は、骨が折れることで強い痛みを引き起こします。
特に、高齢者に多い骨折であり注意が必要です。 高齢者は骨が弱くなっているため、わずかな衝撃でも骨折してしまうことがあります。 若い世代に比べて骨の修復も時間がかかります。
股関節の骨折は、転倒などにより強い衝撃が加わることで起こります。 骨がもろくなっている高齢者の場合、軽い転倒や尻もちでも骨折する可能性があります。
股関節痛の改善方法
股関節痛には、安静、薬物療法、運動療法、手術療法などさまざまな治療法があります。
(1)安静
股関節痛の改善には、まず「安静」にすることが重要です。しかし、「安静」と一言でいっても、具体的にどのような状態を指すのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
安静とは、「怪我をした部位にかかる負担を最小限に抑えるために、通常の生活活動レベルを下げること」を意味します。安静には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
安静のタイプ | 内容 | 具体的な例 |
---|---|---|
絶対安静 | ほとんど、または完全に動かない | 骨折した脚を全く床に着けず、負荷をかけずに安静に保つ |
相対的安静 | 日常生活である程度の活動は許可されているが、怪我をした部位に無理な負担をかけないように活動レベルを調整する | 軽い捻挫や筋肉痛がある場合に、激しい運動を避け、通常よりも穏やかな生活を心がける |
多くの場合、医師が指示する安静は「相対的安静」です。絶対安静が必要な場合は、家庭での療養よりも入院が必要になるケースが多いためです。
医師から安静にするように指示された場合、「歩いても良いか」「階段を使っても良いか」「横になっていた方が良いのか」など、具体的な行動の可否について質問してみましょう。
(2)股関節痛の薬物療法
股関節痛の薬物療法では、主に痛みや炎症を抑えることを目的とした薬が使用されます。痛みが強い場合は、我慢せずに医師に相談し、適切な薬物療法を受けるようにしましょう。
(3)運動療法
股関節痛の改善には、運動療法も有効です。 股関節周りの筋肉を鍛えることで、股関節の安定性を高め、痛みを軽減効果が期待できます。
(4)手術療法
股関節痛の改善には、手術が必要となるケースがあります。手術療法には、大きく分けて人工股関節置換術と骨切り手術、股関節鏡手術があります。
人工股関節置換術は、損傷した股関節の部位を人工関節に置き換える手術です。この手術は、関節の機能を回復させ、痛みを軽減する効果があります。
骨切り手術は、骨を切って関節にかかる負担を調整する手術です。この手術は、比較的症状が軽い場合に有効とされ、将来的に関節の変形が進行するのを遅らせる効果が期待できます。
股関節鏡手術は、関節内に内視鏡を挿入して行う手術です。比較的小さな傷で行えるため、身体への負担が少なく、術後の回復も早いというメリットがあります。
(5)日常生活での注意点
股関節痛を改善し、再発を予防するためには、日常生活の中で股関節への負担を減らすことが重要です。股関節に負担をかけない姿勢や動作を心がけましょう。
✔ 座り方 | 椅子に座るときは、浅めに腰掛けず、深く腰掛けるようにしましょう。 |
✔ 立つ姿勢 | 猫背にならないように、背筋を伸ばして立つようにしましょう。 |
✔ 荷物の持ち方 | 重い荷物を持ち上げるときは、股関節に負担がかかりやすいため注意が必要です。荷物を持ち上げる際は、膝を曲げて腰を落とすようにし、股関節ではなく脚の力で持ち上げるようにしましょう。 |
✔ 寝具 | 睡眠時は、股関節や腰への負担を軽減できる寝具を選びましょう。柔らかすぎる、硬すぎるマットレスは腰痛の原因になる場合があるので、柔らかすぎず硬すぎないものを選ぶようにしましょう。 |
✔ 洋式トイレの使用 | 和式トイレに比べて股関節への負担が大きいため、洋式トイレの使用が推奨されます。 |
✔ 長時間同じ姿勢での作業の回避 | デスクワークなど、長時間同じ姿勢での作業を行う場合は、こまめな休憩を挟むようにしましょう。1時間に1回程度は立ち上がってストレッチをするなど、股関節を動かすように心がけましょう。 |
股関節痛の改善には、日常生活での注意点を守ることが大切です。
6. 股関節痛を予防するために
股関節痛を予防するために、日頃からできることを3つご紹介します。
(1)適度な運動
股関節痛の予防には、適度な運動が効果的です。しかし、すでに痛みがある場合は、運動の種類や強度には注意が必要です。
股関節に負担をかけずにできる運動としては、水中ウォーキングや水中エアロビクスなどがあります。プールの中では水の浮力によって股関節への負担が軽減されるため、痛みを感じることなく運動することができます。
また、股関節の周りの筋肉を鍛えることも大切です。
股関節の周りの筋肉を鍛えることで、股関節への負担を軽減し、痛みの発生を防ぐことができます。おすすめのトレーニングとしては、以下のものがあげられます。
トレーニング①クラムシェル
クラムシェルとは「貝殻」のこと。写真のように横向けになり、軽く膝を曲げて上の脚を開いたり閉じたりします。
この種目の注意点は、脚を開くときに「かかとをつけっぱなしにすること」と「お尻の横側を意識して脚を開くこと」の二点です。かかとが離れたり他の筋肉を意識して動作したりすると、殿筋群をうまく刺激できません。
トレーニング②横向きで行うトレーニング
もうひとつのトレーニングも、横向きになって行ないます。今度は上の脚を高く上げて、お尻の筋肉を意識しつつ前後に動かしていきましょう。動きにくい場合は、下の画像のようにタオルを脚に挟み、上の脚を上げたり下げたりすると少し楽に動けると思います。
これらの運動は、無理のない範囲で行うようにしましょう。痛みが強い場合は、運動を中止して治療院などに相談してください。
(2)ストレッチ
股関節の痛みを和らげるには、股関節周りの筋肉の柔軟性を高めるストレッチが有効です。股関節のストレッチを行うことで、筋肉の緊張が緩和され、関節の動きがスムーズになる効果が期待できます。
ここでは、自宅で簡単に行えるおすすめのストレッチを2つご紹介します。
殿部(お尻)を伸ばすストレッチ
①仰向けになり、「4の字」をつくるように足をクロスさせます。
②上体は姿勢を変えず、下半身を組んでいる足の裏が地面につくように倒します
③余裕がある人は、倒した側の手で膝を持ち、さらに倒します。
左右それぞれの足で行います(左右各15秒×2セット)。呼吸を楽にしながら行いましょう。
①ベッドかソファなどに仰向けで寝転がります
②伸ばす方の足(上の画像の場合右足)に反対足を組んでください
③組んでいる足(上の画像の場合左足)で伸ばす足をベッドの外に引っ張ります
③の状態で30秒から1分ほどキープします。初めての方はまずは30秒から試してみてください。ストレッチをする時に、筋肉が伸びている側の腰(骨盤)がベッドやソファから浮かないようにしてください。浮いてしまうとストレッチが上手くできません。
(3)体重管理
股関節は、私たちの体重を支え、歩く・立つ・座るなどの動作をスムーズに行うために重要な役割を担っています。しかし、体重が増加すると股関節への負担も大きくなり、股関節痛のリスクが高まります。
東京ヒップジョイントクリニックによると、体重が1kg増えると股関節にかかる負担は歩行時に約3kg、階段昇降時には約5kgも増加すると言われています。体重増加によって股関節に過剰な負担がかかり続けると、軟骨のすり減りや炎症を引き起こしやすくなるため、股関節痛のリスクが高まります。
股関節痛を予防・改善するためには、適正体重を維持することが重要です。もし、現在の体重が適正体重よりも重い場合は、無理のない範囲で減量を目指しましょう。
下の写真のようなことも、たまにしたくなりますが、ほどほどにしましょう。
(4)姿勢
股関節痛を予防するために、日常生活において正しい姿勢を保つことは非常に大切です。なぜなら、猫背や反り腰などの悪い姿勢は、股関節に余計な負担をかけてしまうからです。正しい姿勢を心がけることで、股関節への負担を軽減し、痛みの予防につながります。
7. まとめ
股関節痛は、日常生活で私たちに多くの制限を与えかねない病気です。 特に、変形性股関節症は進行すると、歩行困難や日常生活に支障をきたす可能性があります。
股関節の違和感について、早期に適切な治療を行うことで、症状の進行を遅らせたり、痛みを軽減したりすることができます。
股関節の痛みや違和感などの悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽によろずや接骨院へご相談ください!
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