ランナー膝(腸脛靭帯炎)とは?症状・原因・治療法を接骨院スタッフが解説
ランニングをおこなっている人に起こりやすい「ランナー膝」という痛みは、正確には「腸脛靭帯炎」といいます。陸上競技のランナーに多く見られますが、他の競技をしている人も注意が必要な症状です。
今回は、ランナー膝の症状や発症の原因、治療方法などを詳しく解説します!
目次
ランナー膝(腸脛靭帯炎)とは?
まずは、ランナー膝とはどのような症状なのかについて解説します。
(1)腸脛靭帯と膝関節の摩擦で発生する炎症
ランナー膝は太ももの外側から膝の外側にかけて伸びる腸脛靭帯と、膝関節の外側にある大腿骨外側上顆という出っ張り部分が繰り返し擦れ合うことで炎症が起こり、痛みを生じる障害です。
腸脛靭帯は、大腿筋膜張筋と殿筋の一部である大殿筋から始まり、膝の外側にある脛骨外側顆に付着しています。この腸脛靭帯は、股関節の動きや膝関節の安定性に寄与しており、歩行や走行時に重要な役割を担っています。
ランニングなどの運動時に膝の屈伸を繰り返すと、腸脛靭帯は大腿骨外側上顆の上を滑るように動きます。このとき、オーバーユースや筋力バランスの乱れ、フォームの悪さなどが原因で、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆の摩擦が大きくなり、炎症を引き起こすと考えられています。
この炎症が起きたとき、異常な血管や神経が作られてしまうことによって、症状が改善しにくくなるケースがあることが最近の研究でわかってきています。
(2)ランナーに多いことから「ランナー膝」と呼ばれる
ランナー膝は、ランニング愛好家によく見られる症状です。特に、長距離を走るランナーに多く発症することから、「ランナー膝」という俗称が定着しています。
ランナー膝は、ランニング中の繰り返しの動作によって、膝関節周辺の組織に負担がかかり、炎症を引き起こすことが原因です。
ランナーは、着地時に体重の何倍もの衝撃を膝に受けながら走っています。この時、膝関節の外側にある腸脛靭帯と大腿骨の外側上顆が繰り返し擦れ合うことで、炎症が発生しやすくなります。これがランナー膝の主な発生メカニズムです。
ちなみに、ランナー膝はランナー特有の症状というわけではありません。ランニング以外にも、バスケットボールやサッカー、バレーボールなど、ジャンプやストップ動作を頻繁に行うスポーツでも発症のリスクがあります。
(3)放置すると悪化し、日常生活にも支障が出る可能性も
ランナー膝は、初期段階では運動時に軽い痛みを感じる程度である場合が多いです。しかし、この段階で適切な対処をせずに放置してしまうと、症状は徐々に悪化していく可能性があります。
ランナー膝の症状が悪化すると、以下のような問題が生じることがあります。
ランナー膝の悪化症状 | 具体的な内容 |
---|---|
日常生活での痛みの出現 | 安静時や歩行時にも膝の外側に痛みが走るようになることがあります。 |
運動能力の低下 | 痛みのためにランニングの距離や時間が減ったり、運動自体ができなくなったりする可能性があります。 |
他の部位への負担増加 | 膝をかばって歩くことで、反対側の足や腰などに負担がかかり、新たな痛みが生じる可能性も考えられます。 |
ランナー膝を放置すると、ランニングなどの運動だけでなく、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
ランナー膝の症状の特徴
ランナー膝の症状には、次のような特徴があります。
(1)膝の外側に痛みが出る
ランナー膝の主な症状は、膝の外側に痛みが出ることです。
腸脛靭帯は、太ももの外側から膝の外側にかけて走っている長い靭帯で、膝の屈伸運動に関わっています。ランニングなどで膝を繰り返し曲げ伸ばしすると、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆と呼ばれる膝関節の出っ張った部分が擦れ合い、炎症を起こします。これが痛みの原因です。
初期は運動時だけに痛みを感じますが、症状が進むと、日常生活でも痛みを感じるようになります。
(2)走行開始時に痛みが強く、徐々に軽減することも
ランナー膝では、走り始めは膝の外側に強い痛みを感じることが特徴です。これは、走り始めは身体がまだ温まっていないため、筋肉や関節が硬くなっていることが原因として考えられます。
ランナー膝は、腸脛靭帯と膝関節外側のでっぱりが繰り返し擦れ合うことで炎症が起こり、痛みを生じさせます。走り始めは、この腸脛靭帯の柔軟性が低く、膝関節との摩擦が大きくなってしまうため、強い痛みを感じやすくなります。
しかし、走り続けていくうちに身体が温まってくると、筋肉や靭帯の柔軟性が増し、血行も促進されます。そのため、腸脛靭帯と膝関節との摩擦が軽減され、痛みが徐々に和らいでいくのです。
ただし、これはあくまで一時的な現象です。ランニングを中止して身体が冷えると、再び痛みが出現することがあります。
また、痛みが軽減したからといって、そのまま走り続けると、炎症が悪化し、慢性化する可能性もあります。
ランナー膝は、初期の段階で適切な治療や予防を行うことが重要です。痛みが強い場合や、痛みが続く場合は、無理をせず、医療機関を受診しましょう。
(3)階段の上り下り、長時間の着座で痛みが悪化しやすい
ランナー膝では、階段の上り下りや長時間の着座によって膝の外側に痛みが生じることがあります。
階段の上り下りでは、膝の曲げ伸ばしが繰り返されるため、腸脛靭帯と膝関節の外側にある骨の出っ張り(外側上顆)が繰り返し擦れ合います。特に階段を下りる動作では、着地の衝撃が加わるため、痛みが強くなる傾向があります。
また、長時間座っていると膝が曲がった状態が続くため、腸脛靭帯が圧迫されて膝関節の外側に負担がかかります。長時間座ってから立ち上がるとき、痛みを感じやすいです。
(4)膝の曲げ伸ばしで摩擦音がする
ランナー膝(腸脛靭帯炎)では、膝の曲げ伸ばしをする際に摩擦音がする場合があります。これは、炎症を起こした腸脛靭帯と大腿骨外側上顆がこすれ合うことで発生します。音がする場合としない場合がありますが、音がする場合は以下のような特徴があります。
音の印象としては、「ゴリゴリ」「キュッキュッ」「パキパキ」といった具合です。このような音がする場合、炎症が進行している可能性があります。
腸脛靭帯は大腿骨外側上顆という骨の出っ張りをまたいでいますが、ランナー膝になるとこの腸脛靭帯と大腿骨外側上顆が炎症を起こし、こすれやすくなります。その結果、膝の曲げ伸ばしに伴って摩擦音が発生すると考えられています。
摩擦音自体は、必ずしも痛みを伴うものではありません。しかし、摩擦音がするということは、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆の間で摩擦が生じており、炎症が悪化している可能性があります。放置すると、痛みが強くなったり、可動域が狭まったりする可能性もあるため注意が必要です。
ランナー膝の原因
ランナー膝は、様々な要因が重なって発生すると考えられていますが、特に以下のような原因が挙げられます。
(1)オーバーユース(使い過ぎ)
ランナー膝の最も一般的な原因は、オーバーユース、つまり膝への負担が許容量を超えてしまうことです。
ランニングは、地面に足が着地するたびに体重の約3倍の衝撃が膝にかかると言われています。この負荷に身体が対応できていれば問題ありませんが、急激な走行距離の増加やトレーニング強度のアップなどで許容範囲を超えてしまうと、腸脛靭帯やその周辺組織に炎症が生じてしまいます。
(2)急激な運動量の増加
ランニングを始めるときや、久しぶりにランニングを再開するときは、徐々に運動量を増やしていくことが大切です。
急激に運動量を増やしてしまうと、筋肉や腱、靭帯などが急な負荷に耐えきれず、炎症を起こしやすくなります。
ランニング中に痛みを感じた場合は、無理をせず休憩しましょう。痛みを我慢して走り続けると、症状が悪化してしまう可能性があります。ランニングを継続していくためには、自分のペースで無理なく運動量を増やしていくことが重要です。
(3)ウォーミングアップ不足
ランニング前のウォーミングアップ不足は、ランナー膝のリスクを高める要因の一つです。ウォーミングアップは、体温を上昇させて筋肉や関節の柔軟性を高める効果があります。
しかし、ウォーミングアップが不足すると、筋肉や関節が硬い状態でのランニングを強いられます。その結果、腸脛靭帯と膝関節外側部との摩擦が大きくなり、炎症が起こりやすくなってしまうのです。
ランニング前のウォーミングアップでは、軽いジョギングやストレッチを行い、筋肉や関節を十分に温め、柔軟性を高めておくようにしましょう。
(4)身体の柔軟性不足
ランナー膝は、膝の屈伸運動に関係する筋肉や組織の柔軟性が不足することで発症リスクが高まります。特に、股関節の外側から膝の外側にかけてつながる腸脛靭帯と、腸脛靭帯と連結している大腿筋膜張筋、股関節の動きに関わる殿筋群の柔軟性が重要です。
- 腸脛靭帯:太ももの外側を走る長い靭帯で、膝の安定化に貢献している
- 大腿筋膜張筋:骨盤から腸脛靭帯にかけて伸びる筋肉で、股関節の屈曲や外転に関わっている
- 殿筋群:お尻を構成する筋肉群で、股関節の伸展や外転、回旋などの動きに関わっている
これらの筋肉や組織の柔軟性が低下すると、腸脛靭帯が膝関節の外側部と擦れやすくなり、炎症を引き起こしやすくなります。
(5)下半身の筋力不足
ランニングにおいて、下半身の筋力は推進力を生み出すだけでなく、着地の衝撃を吸収し、関節を安定させる役割も担っています。特に重要なのが、太もも前面の大腿四頭筋、太もも裏側のハムストリングス、お尻の筋肉である殿筋群です。
部位 | 筋肉名 | 役割 |
---|---|---|
太もも前面 | 大腿四頭筋 | 膝の伸展、着地の衝撃吸収 |
太もも裏側 | ハムストリングス | 膝の屈曲、股関節の伸展、着地の衝撃吸収 |
お尻 | 殿筋群 | 股関節の伸展、安定化、推進力の向上 |
これらの筋肉が弱いと、以下のような問題が生じ、ランナー膝のリスクを高める可能性があります。
- 着地の衝撃を十分に吸収できないため、膝関節や腸脛靭帯に負担がかかりやすくなる
- 膝関節が不安定になり、腸脛靭帯と膝関節外側部の摩擦が生じやすくなる
- 股関節の安定性が低下し、ランニングフォームが乱れ、結果として膝関節に負担がかかる
(6)回内足:足の過剰な内側への傾斜
ランナー膝の原因の一つに、「回内足」があります。 そもそも「回内」とは、足の裏が外側を向く動きのことを指します。
例えば、歩行時に体重がかかとからつま先へ移動する際、足は以下のように動きます。
- かかとが地面に着地する際に「回外」して足が外側を向き、衝撃を吸収します。
- 次に、つま先へ体重移動する際に「回内」が起こり、推進力が生まれます。
このように、「回内」と「回外」は、歩行時に重要な役割を果たしているのです。
しかし、この「回内」が過剰に起こってしまうと、ランナー膝のリスクが高まります。 過剰な回内により、着地時に足の内側へ体重が偏り、膝関節の外側に負担がかかりやすくなるためです。
回内足の原因としては以下が考えられます。
回内足の原因 | 説明 |
---|---|
内側縦アーチ(土踏まず)の低下 | 土踏まずのアーチが低下することで、足が内側に倒れ込みやすくなります。 |
靭帯のゆるみ | 足首や足の関節をつないでいる靭帯が緩むことで、足の骨格が不安定になり、過剰な回内が起こりやすくなります。 |
腓骨筋の過緊張 | すねの外側にある腓骨筋が緊張しすぎると、足首が内側に引っ張られ、回内が強くなります。 |
後脛骨筋腱機能不全 | 内くるぶし付近を通る後脛骨筋腱が損傷を受けると、土踏まずを支えられなくなり、足が扁平化しやすくなるため、回内足につながります。 |
その他 | 遺伝、加齢、肥満、不適切な靴の使用、運動不足など |
(7)不適切なフォームでのランニング
ランニングにおいて、不適切なフォームで走り続けることは、膝関節に過剰な負担をかける大きな要因となります。
長距離を走る際、ほんの少しのフォームのズレが、長い距離と時間をかけて蓄積され、膝の痛みに繋がってしまうのです。
特に、以下のフォームはランナー膝のリスクを高める可能性があるので注意が必要です。
フォーム | 説明 |
---|---|
かかと着地 | 特に下り坂での衝撃は大きく、膝関節への負担が大きくなってしまいます。 |
足が身体の軸線よりも外側または内側に着地する | 身体の軸線と足の着地点がずれることで、膝関節にねじれの力が加わりやすくなってしまいます。 |
上体が過度に前傾または後傾している | 理想的な重心の位置からズレてしまうことで、膝関節への負担が増加してしまいます。 |
腕振りができていない | 腕を振ることで、足の動きとバランスを取り、推進力を得ながら走ることができます。腕振りができていないと、身体のバランスが崩れ、膝に負担がかかりやすくなります。 |
歩幅が大きすぎる | 歩幅が大きすぎると、着地の衝撃が大きくなり、膝関節への負担も大きくなってしまいます。 |
ランニングフォームは人それぞれ骨格や筋肉の付き方が違うため、一概に「これが正解」と言えるものはありません。しかし、ランナー膝を予防するためにも、ご自身のフォームを見直し、改善していくことは重要と言えるでしょう。
(8)不適切なシューズの使用
ランニングシューズは、ランナーの走力や足の特徴、走る距離や場所によって適切なものが異なります。
例えば、クッション性の低いシューズは、着地の衝撃を十分に吸収できず、腸脛靭帯に負担がかかりやすくなります。
また、自分の足に合っていないシューズを履いていると、足が過剰に内側へ倒れ込む「オーバープロネーション」が起こりやすくなります。オーバープロネーションは膝関節にねじれを生じるため、腸脛靭帯へのストレスを増大させる原因となります。
靴の種類 | 足底筋膜への影響 |
---|---|
サイズが小さい靴 | 足が圧迫され、血行が悪くなる |
クッション性がない靴 | かかとへの衝撃が大きくなる |
ランナー膝の治療法
ランナー膝の治療は、痛みの程度や症状の期間、患者の年齢や活動レベルなどを考慮して行われます。基本的には保存療法が中心となりますが、重症例では手術療法が選択されることもあります。
(1)保存療法
ランナー膝の治療は、基本的には保存療法が中心となります。保存療法とは、手術などの外科的な治療を行わずに、薬物療法やリハビリテーションなどによって症状の改善を図る治療法です。
ランナー膝の保存療法では、まず痛みが強い場合はランニングなどの運動を休止し、安静にします。そして、痛みの原因となっている動作や姿勢の改善、ストレッチ、筋力トレーニングなどを行います。
治療法 | 内容 |
---|---|
安静 | 痛みが強い場合は、ランニングなどの運動を休止し、膝を安静にします。 |
運動療法(ストレッチ) | 腸脛靭帯や大腿筋膜張筋、ハムストリングスなど、太もも周辺の筋肉の柔軟性を高めるストレッチを行います。 |
運動療法(筋力トレーニング) | 大腿四頭筋やハムストリングスなど、太ももの筋肉を鍛えるトレーニングを行います。 |
薬物療法(消炎鎮痛剤の内服・外用) | 炎症を抑え、痛みを軽減する薬を内服したり、患部に塗布したりします。 |
サポーター着用 | サポーターを着用することで、膝関節を安定させ、腸脛靭帯への負担を軽減します。 |
理学療法 | 電気治療や温熱療法などで、痛みや炎症を抑えます。 |
インソール | 足のポジションを正常にして、腸脛靭帯への負担を軽減します。 |
※インソールの記事のURLの追加
(2)重症例では手術療法を行う場合も
ランナー膝の治療は、基本的に保存療法が中心となります。しかし、保存療法を続けても痛みが改善しない、あるいは症状が重いなどの場合には、手術療法が選択されるケースもあります。
【主な手術療法】
- カテーテル治療
- ステロイド注射 etc…
手術療法は、保存療法では効果が見られない場合にのみ検討される治療法です。手術療法が必要かどうかは、医師の診断のもと、慎重に判断する必要があります。
ランナー膝の予防方法
ランナー膝は、ランニング愛好家にとって悩ましい問題です。しかし、適切な予防策を講じることで、そのリスクを大幅に減らすことができます。ここでは、ランナー膝を効果的に予防するための方法を紹介します。
(1)ランニング前の十分なウォーミングアップ
ランニング前のウォーミングアップは、身体を運動に適した状態へ導き、怪我の予防やパフォーマンス向上に役立ちます。
ランニングは全身運動なので、全身をくまなく温めることが大切です。
特に、ランニング中に負担のかかりやすい部位は以下の通りです。これらの部位は、ウォーミングアップ不足だと怪我のリスクが高まります。
- 足首
- 膝
- 股関節
- 腰
軽い体操やジョギング、ジャンプといったウォーミングアップを入念に行ない、これから始めるランニング(その他の運動)の準備を整えましょう。
(2)ストレッチによる柔軟性向上
ランナー膝の予防には、腸脛靭帯をはじめ、大腿筋膜張筋、殿筋群などの柔軟性を高めることが重要です。ここでは、特におすすめのストレッチを紹介します。
ストレッチを行う際には、無理のない範囲で、痛みを感じない程度に行うようにしましょう。
大腿四頭筋のストレッチ
①壁などに手をついて立ちます。
②片方の足を後方に引いて、手で足首をつかみます。
③そのままゆっくりと体を前に倒し、太ももの前側にストレッチを感じながら、20秒程度保持します。
反対側も同様に行いましょう。
ハムストリングスのストレッチ
①足を肩幅に開いて立ちます。
②片方の足を一歩前に出し、つま先を上に向けます。
③ゆっくりとお尻を後ろに突き出し、太ももの裏側にストレッチを感じながら、20秒程度保持します。
反対側も同様に行いましょう。
腸脛靭帯・大腿筋膜張筋のストレッチ
①ベッドかソファなどに仰向けで寝転がります
②伸ばす方の足(上の画像の場合右足)に反対足を組んでください
③組んでいる足(上の画像の場合左足)で伸ばす足をベッドの外に引っ張ります
③の状態で30秒から1分ほどキープします。初めての方はまずは30秒から試してみてください。ストレッチをする時に、筋肉が伸びている側の腰(骨盤)がベッドやソファから浮かないようにしてください。浮いてしまうとストレッチが上手くできません。
殿筋群のストレッチ
①仰向けになり、「4の字」をつくるように足をクロスさせます。
②上体は姿勢を変えず、下半身を組んでいる足の裏が地面につくように倒します
③余裕がある人は、倒した側の手で膝を持ち、さらに倒します。
(4)下半身の筋力トレーニング
ランナー膝の予防には、下半身の筋力トレーニングが重要です。腸脛靭帯にかかる負担を軽減し、膝関節の安定性を高めるために、以下の筋肉を重点的に鍛えましょう。
筋肉 | 説明 |
---|---|
大腿四頭筋 | 太ももの前面にある筋肉で、膝関節の伸展に作用します。ランニング中はもちろん、階段の上り下りなど日常生活でも重要な役割を担っています。 |
ハムストリングス | 太ももの後面にある筋肉で、膝関節の屈曲に作用します。大腿四頭筋とバランスを取りながら、膝関節を安定させる働きがあります。 |
殿筋群 | お尻の筋肉で、股関節の伸展や外転、回旋に作用します。ランニング中の推進力を生み出すだけでなく、骨盤を安定させることで腸脛靭帯への負担を軽減します。 |
中殿筋 | 殿筋群の一部で、股関節の外転に作用します。ランニング中に体幹が左右に傾くのを防ぎ、腸脛靭帯への負担を軽減します。 |
これらの筋肉を効果的に鍛えるためには、自重トレーニングやウェイトトレーニングなど、さまざまな方法があります。
スクワット
①足を肩幅かそれより広めに開きます
②背筋を伸ばしたまましゃがみます。そのとき、お尻を後ろに突き出すイメージでしゃがむと、殿筋群やハムストリングスをより効果的に鍛えられます。
ヒップリフト
①仰向けになり、膝を軽く曲げます。
②お尻に力を入れて腰を持ち上げます。
クラムシェル
クラムシェルとは「貝殻」のこと。写真のように横向けになり、軽く膝を曲げて上の脚を開いたり閉じたりします。
この種目の注意点は、脚を開くときに「かかとをつけっぱなしにすること」と「お尻の横側を意識して脚を開くこと」の二点です。かかとが離れたり他の筋肉を意識して動作したりすると、殿筋群をうまく刺激できません。
参考資料ランナー膝とは一体何なのか?.オンラインストア (通販サイト) (https://www.nike.com/jp/a/what-is-runners-knee)
(5)正しいフォームでのランニング
ランニングにおいて、正しいフォームを身につけることは、怪我の予防やパフォーマンス向上に繋がります。ランニングフォームは、身体への負担を軽減し、効率的に走るために非常に重要です。
ランニングフォームには個人差がありますが、ここでは正しいランニングフォームを構成する要素をまとめました。これらの要素を意識することで、正しいランニングフォームに近づき、快適で効率的なランニングを楽しむことができます。
①着地場所
理想的な着地は、足裏全体で地面を捉えることです。つま先やかかとだけで着地すると、衝撃が一点に集中し、足や膝に負担がかかりやすくなります。足裏全体で着地することで、衝撃を分散し、スムーズな体重移動を実現できます。
②体幹の姿勢
ランニング中は、体幹をまっすぐと保つことが重要です。猫背になったり、腰が反ったりすると、身体のバランスが崩れ、効率的な走りができなくなります。体幹を意識することで、安定したフォームを維持し、無駄なエネルギー消費を抑えることができます。
③腕振り
腕振りは、ランニングのリズムを生み出し、推進力を得るために重要な役割を果たします。腕を大きく振ることで、脚の動きと連動し、スムーズな体重移動を促します。また、腕振りを意識することで、体幹の安定にも繋がります。
④歩幅
歩幅は、無理に広げすぎず、自然な範囲で走るのが良いでしょう。歩幅を広げすぎると、着地の衝撃が大きくなり、怪我のリスクが高まります。自分の体力やペースに合った歩幅を心掛けることが大切です。
⑤上半身の姿勢
上半身は地面に対して垂直を意識し、やや前傾姿勢を保つようにしましょう。前傾することで、自然と足が前に出ていき、推進力を得やすくなります。
【参考資料】 https://www.supersports.com/ja-jp/xebio/media/sLRqgMzyGZgAZuyKfihaGi
(6)自分に合ったシューズ選び
足底筋膜炎を予防・改善するためには、靴選びも重要です。大きすぎる靴や小さすぎる靴は、履いているだけで足にダメージを与えてしまいます。
【小さすぎるシューズの影響】
- つま先を圧迫し、爪の変形や内出血を引き起こす
- つま先の神経が圧迫され、痛みや痺れを感じることがある
- 皮膚が擦れて水ぶくれやタコができたり、皮膚の硬化を引き起こしたりする
- 足の特定の部分に過剰な圧力がかかり、痛みや炎症が生じやすくなる
- 長期的な着用で、足の変形リスクが高まる
【大きすぎるシューズの影響】
- 足がシューズの中で滑り、水ぶくれやタコが発生する
- 歩行時や運動時の足の動きが不安定になり、捻挫しやすくなる
- アーチやかかとが不安定になり、足底筋膜炎や膝、腰の痛みが生じやすくなる
- 歩行時などに足の踏ん張りが必要となり、足、足首、膝、腰などの負担が増す
逆に、足に合った靴を選ぶことで、足底筋膜への負担を軽減することができます。下の表を参考に、自分の足にフィットした靴を選びましょう。
良い靴の条件 | |
---|---|
サイズ | 足の長さ、幅が合っている |
かかと部分(アウトカウンター)の硬さ | 指で挟んで潰れない程度に硬い (柔らかいとかかとがぐらつき負担が増す) |
靴の中央部(シャンク)の硬さ | 手でひねってねじれない程度に硬い (簡単にねじれるほど柔らかいと足裏の負担が増す) |
靴のつま先部分(バンプ)の硬さ | 運動時・歩行時にしっかり曲がる柔らかさがある (硬いと運動・歩行での足裏の負担が増す) |
ソールのクッション性 | 適度な硬さがあり、着地時の衝撃を吸収してくれる |
アーチサポート | 土踏まずをしっかり支えてくれる |
ランナー膝になったら?
ランナー膝の疑いがある場合、次の3点を忘れずに適切な処置を心がけましょう。
(1)なるべく早く医療機関を受診する
ランナー膝の症状が出たら、自己判断で対処せず、速やかに医療機関を受診しましょう。早期に治療を開始できれば、その分競技にも復帰しやすくなるし、日常生活の負担も軽減できます。
(2)自己判断での治療はNG
ランナー膝に限らず、体の痛みや不調を感じた時は、自己判断で治療を行うことは避け、医療機関を受診するようにしましょう。
- インターネットで見つけた情報だけで、自己流のストレッチやマッサージを行う。
- 市販薬を自己判断で使用し続ける。
- 安静にしていれば治ると考え、医療機関を受診しない。
これらの行為は、症状を悪化させたり、他の病気を併発したりする可能性もあるため大変危険です。
(3)専門家のアドバイスを受ける
ランナー膝の治療や予防には、自己判断ではなく専門家のアドバイスを受けることが重要です。 ランナー膝は症状や原因、重症度によって適切な治療法が異なるためです。
例えば、痛みが軽い場合は安静やアイシング、ストレッチなどのセルフケアで改善する可能性があります。しかし、痛みが強い場合や長引く場合は、医療機関を受診し、医師の診断のもと適切な治療を受ける必要があります。
まとめ
ランナー膝は、ランニング愛好家によくみられる症状ですが、適切な治療と予防策を講じることで改善できる可能性があります。
腸脛靭帯炎は安静にすれば自然と治るというものではなく、根本的な原因に対処しなければ再発のリスクがあります。
正しい予防方法と処置の方法を学び、ランニングやスポーツを楽しんでください。少しでも膝に違和感があるという人は、ぜひよろずや接骨院にご相談ください!
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