オスグッドってどんな病気? 原因・症状を接骨院がわかりやすく解説
オスグッド・シュラッター病(通称オスグッド)は、成長期にスポーツをする子どもによく見られる膝の病気です。膝のお皿の下にある部分が出っ張り、ジャンプやダッシュなど、膝に負担がかかる動きをすることで痛みが強くなります。
どのようなきっかけでオスグッドになってしまうのでしょうか?症状の特徴や原因、処置の方法などを解説します。
目次
オスグッドは成長期に見られるスポーツ障害
オスグッドは、正式名称を「オスグッド・シュラッター病」と言い、成長期の子どもに多く発症する膝の疾患です。10代前半のスポーツをしている活発な子どもに多く見られ、特に男子に多く発症する傾向があります。
オスグッドは、膝のお皿の下にある脛骨粗面と呼ばれる骨が出っ張り、そこに痛みが生じます。 そして、脛骨粗面に付着する太ももの筋肉(大腿四頭筋)が運動などで収縮され、脛骨粗面が何度引っ張られることで炎症が起きます。
成長期の子どもは骨の成長スピードが速いため、筋肉や腱の成長が追い付かず、骨の端に負担がかかりやすくなっています。 特に、ジャンプやダッシュなどの動作を繰り返すスポーツでは、膝に大きな負担がかかるため、オスグッドを発症するリスクが高まります。
ちなみに、 オスグッド・シュラッター病という正式名称は、この病気を報告したアメリカの整形外科医・オスグッド氏と、スイスの外界・シュラッター氏の名前から取られています。日本では、オスグッドと呼んだり単にオスグッドを呼んだりするのが一般的です。
(1)オスグッドの主な症状
オスグッドの主な症状は、主に次のようなものが考えられます。
症状 | 説明 |
---|---|
膝のお皿の下の痛み | 脛骨粗面に炎症が起こることで痛みを感じます。 |
腫れ | 脛骨粗面が炎症を起こすことで腫れが生じます。 |
運動時の膝の痛み | ジャンプやダッシュなど、膝に負担がかかる運動をすると痛みが強くなります。 |
膝の曲げ伸ばし時の痛み | 階段の上り下りや、正座のように膝を深く曲げるときに痛みを感じることがあります。 |
圧痛 | 脛骨粗面を押すと痛みを感じます。 |
(2)日常動作が難しくなることも
初期段階では、運動時など特定の動作をしたときにだけ痛みを感じることが多いですが、症状が進行すると、安静にしているときにも痛みが続くようになります。
日常動作での症状の例 | 説明 |
---|---|
歩行が困難になる | 痛みのため、歩くスピードが遅くなったり、長い距離を歩けなくなったりすることがあります。 |
階段の上り下りが困難になる | 特に階段を下りる際に、膝に強い負担がかかり痛みを感じやすいため、手すりが必要になったり、一段ずつしか下りられなくなったりします。 |
正座が困難になる | 膝を深く曲げる正座の姿勢は、痛みが強くなるため困難になることがあります。 |
しゃがむ動作が困難になる | しゃがむ動作も膝に負担がかかるため、痛みを感じやすくなります。 |
長時間の立ち姿勢が困難になる | 膝への負担が大きくなるため、長時間の立ち仕事や立ちっぱなしの状態を続けることが難しくなります。 |
オスグッドの主な原因
オスグッドの主な原因は、大きく2点あると考えられています。
- 骨の成長スピードと筋肉の成長スピードのアンバランスによるもの
- スポーツによる膝への過剰な負担
(1)骨の成長と筋肉の成長スピードのアンバランス
成長期において骨は急激に成長します。しかし、筋肉の成長スピードは骨に比べてゆるやかです。そのため、骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、筋肉や腱が骨の付着部に引っ張られることで、痛みや炎症が生じることがあります。
特に、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)は膝のお皿の下にある脛骨粗面に付着しており、このアンバランスの影響を受けやすいです。そのため、成長期ではオスグッドのような痛みが生じる場合があります。
(2)スポーツによる膝への過剰な負担
オスグッドは、膝への過剰な負担が原因のひとつでもあります。 成長期の骨は柔らかく、筋肉や腱の付着部はまだ十分に発達していません。 そのため、激しい運動を繰り返し行うことで、膝蓋腱と脛骨の付着部に負担がかかり、炎症や痛みが生じやすくなります。
特に、ジャンプやダッシュ、急な方向転換など、膝に大きな負荷がかかる動作を繰り返すスポーツでは、オスグッドのリスクが高まります。
代表的なスポーツは、サッカーやバスケッドボール、バレーボール、短距離走、跳躍競技(走り高跳び、走り幅跳び)などが挙げられます。これ以外にも、ダンスや体操、柔道など膝に負担がかかりやすいさまざまなスポーツが、オスグッドのリスク要因となるでしょう。
オスグッドと成長痛の違い
オスグッドと成長痛は、どちらも成長期の子どもが経験する膝の痛みであり、症状が似ているため混同されがちです。しかし、原因や痛む部位が異なります。2つの違いを以下の表にまとめました。
区分 | オスグッド | 成長痛 |
---|---|---|
痛む場所 | 膝のお皿の下の出っ張り(脛骨粗面) | 膝、太もも、ふくらはぎ、足首など足の一部あるいは全体が痛む |
原因 | スポーツなどによる膝への負担。骨の成長スピードに筋肉や腱の成長スピードが追いつかないことによる痛み | 骨の成長スピードに筋肉や腱の成長スピードが追いつかないことによる痛み |
症状の特徴 | 運動時に痛む、膝のお皿の下を押すと痛みがある。進行すると日常動作にも支障が出る | 夕方から朝にかけて痛む。両足に症状が出ることが多く、マッサージやストレッチで痛みが和らぐことが多い |
治療法 | 保存療法(安静、ストレッチ、筋トレなど)、症状が重い場合は手術療法 | 痛みが強い場合は痛み止めを使用 |
オスグッドは、スポーツによる膝への繰り返しの負担が原因で起こるのに対し、成長痛は、骨の成長に伴い筋肉や腱が引っ張られることで起こると考えられています。
成長痛は、成長期の一時的な症状であり、成長が止まるにつれて自然と治ることがほとんどです。一方、オスグッドは、適切な治療を行わないと痛みが長引いたり、変形が残ったりする可能性があります。
膝の痛みを感じたら、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
オスグッドの治療法
オスグッドの治療法は、大きく「保存療法」(手術などをせずにリハビリ等で症状の改善を図ること)と「手術療法」の2種類に分けられます。基本的には、まず保存療法を行い、症状が改善しない場合に手術療法が検討されます。
(1) 保存療法
オスグッドの治療は保存療法が中心となります。保存療法では、痛みの軽減と炎症を抑えることを目的に、次のような方法を組み合わせていきます。
①運動制限
オスグッドの治療において、運動制限は重要な要素です。スポーツをしている子どもたちにとって、運動を制限することは辛いことです。しかし、痛みが強い間は運動量を減らす、あるいは休むことが必要となります。
オスグッドのまま運動を続けると、この引っ張りがさらに強くなり、炎症が悪化したり、膝下の軟骨がはがれてしまうことがあります。そのため、初期の段階では、運動量を減らす、あるいは運動を休むことで、炎症を抑え、痛みが引くのを待つ必要があります。
運動を制限する期間は、オスグッドの状態によって変わります。
オスグッドは改善に半年〜1年間の期間がかかることもあります。
加えて、成長期を終えて大人になっても、膝下が出っ張っているような変形を残したり、押すと痛みが残る場合があります。早期改善を促すためには、専門家の指導のもと、しっかりと運動を休み治療に専念することがとても重要です。
②リハビリテーション(ストレッチ、筋力トレーニング)
オスグッドの治療では、保存療法の一環としてリハビリテーションが重要です。リハビリテーションでは、ストレッチと筋力トレーニングを中心に行い、膝関節の柔軟性向上や筋力強化を目指します。
(2)手術療法
オスグッドは保存療法で改善される場合が多いですが、痛みが強い場合や日常生活に支障がある場合は、手術療法が選択されることがあります。保存療法で効果がない場合に検討されます。手術療法として、遊離骨片摘出手術があります。
具体的には、遊離骨片摘出手術といって剥離した骨片を摘出し、脛骨粗面を滑らかに整える手術をおこないます。手術後は、リハビリテーションを行い筋力回復や関節可動域の改善を図ります。
オスグッドをケア・予防するためのストレッチ
ストレッチでは、大腿四頭筋の柔軟性を高めるために、前ももを中心としたストレッチをおこないます。
※ここで紹介するストレッチやトレーニングは、オスグッドが軽度である場合のケアや、オスグッドの予防などを目的としています。運動時・安静時などで膝に強い痛みを覚える場合は、ストレッチも含めて運動を避けてください。
前もものストレッチその1:ベッドで行うストレッチ
ベッドなどに横になり、上の脚を曲げて足首を持ちます。この姿勢でゆっくり前ももを伸ばしましょう。
前もものストレッチその2:フォームローラーを使ったストレッチ
うつ伏せの姿勢で、前ももの下にフォームローラーを置きます。そのまま身体を前後左右に動かして、前ももをほぐしていきましょう。
オスグッドをケア・予防するためのトレーニング
オスグッドを軽減・予防するためのトレーニングとして、特に意識したいのは「お尻周り」です。なぜかというと、オスグッドに悩むお子さんの大半は、前ももの筋肉への意識が強く、お尻の筋肉(殿筋群)を使って股関節を動かす意識が薄いから。
結果、運動時に前ももばかりを使ってしまうようになり、オスグッドのリスクがさらに高くなります。ここで紹介するトレーニングを活用して、お尻を使う感覚を身につけていきましょう。
トレーニング①ヒップアップ
仰向けで少し膝を曲げ、お尻に力を入れつつ腰を浮かせます。このとき、腰を沿ったり丸めたりしないように注意しましょう。
トレーニング②クラムシェル
クラムシェルとは「貝殻」のこと。写真のように横向けになり、軽く膝を曲げて上の脚を開いたり閉じたりします。
この種目の注意点は、脚を開くときに「かかとをつけっぱなしにすること」と「お尻の横側を意識して脚を開くこと」の二点です。かかとが離れたり他の筋肉を意識して動作したりすると、殿筋群をうまく刺激できません。
トレーニング③横向きで行うトレーニング
もうひとつのトレーニングも、横向きになって行ないます。今度は上の脚を高く上げて、お尻の筋肉を意識しつつ前後に動かしていきましょう。動きにくい場合は、下の画像のようにタオルを脚に挟み、上の脚を上げたり下げたりすると少し楽に動けると思います。
トレーニング④「協調性トレーニング」で身体をコントロールできるようにする
協調性とは、一般的には「センス」「運動神経」とも言われる能力のひとつです。自分の思うように身体を使いこなせる能力を指す言葉だと思ってください。
お尻周りの筋肉をいくら鍛えても、肝心な「お尻を使う」という感覚がわからないと、結局前ももばかりに負担がかかる姿勢やフォームになってしまいます。そこで、簡単なエクササイズを通じて股関節を動かし、お尻を使う感覚を養います。
まずは片足立ちになり背筋を伸ばします。その姿勢を保ったまま、上半身を前後に倒しましょう。このとき、バランスを維持しつつ、腰を反ったり背筋を丸めたりしなよう注意してください。慣れないうちは、壁に手をついてやってみましょう。
オスグッドを予防するためにできること
オスグッドは、一度発症すると治るまでに時間がかかってしまうスポーツ障害です。そのため、日頃から予防対策をしておくことが大切になります。ここでは、具体的な予防策をご紹介します。
(1) 適切なウォーミングアップ
スポーツの前には、必ず入念なウォーミングアップを行いましょう。ウォーミングアップによって体温が上がり、筋肉や関節の柔軟性が向上することで、急な運動による負担を軽減することができます。
特に、膝周辺のストレッチは重要です。大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)やハムストリングス(太ももの裏の筋肉)など、膝関節に負担をかける筋肉を重点的にストレッチしましょう。
(2)身体に合った運動強度
運動強度は、年齢や体力レベルに合わせたものにする必要があります。成長期の子どもの場合、大人と同じ運動強度では、身体への負担が大きくなってしまいます。 練習メニューや試合時間などを調整し、身体への負担を減らすことが大切です。
(3)ストレッチによる柔軟性の向上
日頃からストレッチを行い、身体の柔軟性を高めておくことは、オスグッドの予防に効果的です。 特に、太ももの前後の筋肉(大腿四頭筋、ハムストリングス)やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)などの筋肉を重点的にストレッチして、膝への負担を軽減しましょう。
(4)適切な休養
十分な休養を取ることも大切です。毎日激しい運動を続けることで、身体への負担が蓄積し、オスグッドのリスクが高まります。 練習や試合の後には、しっかりと休息をとり、身体を回復させる時間を与えましょう。
(5)身体の使い方を学ぶ・見てもらう
接骨院とかに。
歩いたり走ったりするときにお尻が左右に偏る(モデル歩き)→トレンデレンブルグ兆候
もしオスグッドになったら?適切な対処法を覚えよう
さまざまな予防法を講じても、オスグットになってしまう可能性があります。
オスグッドは適切な治療やケアを行えば改善する可能性が高い疾患です。 ここでは、オスグッドと診断された場合、またはその疑いがある場合に、とるべき行動について解説します。
(1)なるべく早めに治療院へ相談する
オスグッドは、早期に適切な治療を開始することで、症状の悪化を予防してスポーツへの復帰を早めることができます。 痛みを我慢して運動を続けると、症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性があります。場合によっては、後遺症が残ってしまうこともあります。
膝に特定の痛みを覚えるなど、オスグッドが疑われる場合は、自己判断せずに、速やかに治療院を受診して専門家の診断を受けるようにしましょう。
(2)自己判断でのケアは避ける
オスグッドへの対処方法で、とても危険なのは自己判断で治療が必要かを判断したり、独自にケアしたりすることです。
例えば、痛みが軽くなったからといって運動を再開してしまうと、症状が悪化したり、再発したりする可能性があります。 また、自己流のストレッチやマッサージによって、逆に症状を悪化させてしまう可能性もあります。
オスグッドを治すには、治療院などで適切な診断を受けることが大切です。
(3)保護者や指導者の理解
オスグッドは成長期に多く見られるスポーツ障害であり、適切な対応が必要です。この時期の子どもたちは、まだ体の仕組みや病気に対する理解が十分ではありません。そのため、保護者や指導者がオスグッドに対する正しい知識を持ち、子どもたちの状況を理解することが重要になります。
もしも子どもたちが膝の痛みを訴えている場合、それを軽視せず、痛みや違和感がある場合は速やかに医療機関を受診することが大切です。
まとめ
オスグッドは、成長期のスポーツ活動で膝に負担がかかることで発症する病気です。しかし、適切な治療や予防策を講じることで、症状の悪化を防ぎ、スポーツへの復帰も可能です。
オスグッドについて正しい知識を身につけて、日頃のストレッチやトレーニングに活かしてください。もしもお子さんが「膝が痛い」と訴えた場合は、いつでもよろずや接骨院にご相談ください!
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